部下や後輩となぜなぜ分析を進めるとき、 管理職であるあなたはイラッとしたことはありませんか?
もしかしたらそのイライラ感は、 あなたが欲しいと考えている答えが返ってこないと思っているからかもしれません。
これを解決するには部下の話を 傾聴 することと情報をきちんと整理することがポイントです。
今回もなぜなぜ分析のお話です。 最後まで読むと、 なぜなぜ分析を進めるときの傾聴と情報整理の大切さがわかるかと思います。
私坂田は部下や後輩となぜなぜ分析をしているとき、 なぜかイライラ感を感じたことがあります。
このイライラ感は、 焦りを誘発し、 視野がせまくなって、問題解決に対する意識を薄れさせてしまいます。
こういう状況下では、 上司は判断が鈍りがちになってしまいます。
当時の私はなんとかしてこのイライラ感をなくせないものかと悩んでいました。
それは、 ある部下が前頭部を天井の突起物に接触してケガをしてしまった時のことです。
坂田「 なぜ、 おでこをぶつけたんだ??? 」
坂田のこころの中( 「 ケガするなよ! 」 と言っているのにケガをした部下に対してすでにイライラ )
部下「 しゃがんで一斗缶から洗剤をジョッキに移した後、 ジョッキを持って立ち上がったんです。 その時は天井の突起物に気を付けていたんですけど、 ジョッキを持って歩き出したときにぶつけちゃって・・・・ 」
坂田のこころの中( いいわけに聞こえてイライラ。 )
坂田「 で、なんでぶつけたんだ? どうせ慌てて気付かなかったんだろ? 」
坂田のこころの中( 原因を部下が悪いと決めつけている。 )
部下「 すいません。 以後気を付けます。 突起物に注意の表示をしておきます。 」
坂田のこころの中( ほんと気を付けてくれよ~とイライラ。 )
このやりとりにおけるよくある原因と対策は以下の通り。
原因 「 部下が突起物に気付かなかったから。 」
対策 「 掲示物を貼って突起物に気付くようにする。 」
これで一件落着めでたしめでたしと思ったら、 3 ヶ月後に同じ場所で同じ災害が発生してしまったのです。
このとき、 坂田は上司に呼び出されて、
「 坂田君、 君は安全管理を怠っているのではないか? 」
言われました。
坂田 イライラ 爆発!!
イライラ イライラ イライラ イライラ!!!
ますます視野が狭くなっていきました。
あなたも管理職であれば、 似たような境遇に陥ったことはありませんか。
そのような時にどのように対処しますか。
もし、 あなたも同じような感覚に陥ってしまった場合、 チャンクダウンすることをお勧めします。
チャンクダウンとは、 抽象度が高い物事をより具体的な物事に分解していくことです。 コーチングやNLPの用語として広く用いられています。
例えば、 部下が頭をケガした事象をチャンクダウンしていくと
となります。 チャンクダウンすることは、 なぜなぜ分析を進めるときにも役に立つ思考法です。
そして、 部下の内容を掘り下げていくために更に質問していきます。
などなど、 相手に耳を傾け、 相手の話をよく聴き、 動作の背景に隠れている思考や感情を分析します。これが 傾聴力 です。
まさに情報の 整理 ・ 清掃 ・ 整頓 を頭の中や紙の上で行う感じです。
このときに重要なことは、 上司であるあなたが部下や後輩と話しやすくなる雰囲気を作ることです。
それを作るための方法として、 コーチングやNLPで良く言われている傾聴テクニックを使用し、 相手の話しに耳を傾け、話しの流れに出てくる思考や感情を拾い集めるといいでしょう。
これができると、 あなたが欲しいと思っている情報も得られるだけでなく、 意外な問題解決の糸口が見つかることがあります。
チャンクダウン思考でなぜなぜ分析をすすめると、なぜおでこをぶつけた?
なぜ①
なぜ②
なぜ③
なぜ④
「 この4段階のなぜ? 」から、 床にジョッキと一斗缶が置いてあることで 「 しゃがむ 」 「 立ち上がる 」 という動作が発生していることが分かります。
そうすると、 対策として床にジョッキと一斗缶を置かないということが考えられます。
これにより、 「 しゃがむ 」 「 立ち上がる 」 という動作がなくなることで、 「 おでこと突起物がの物理的距離がゼロとなり、 ケガをする 」 という事象を極力発生させない状況を作り出すことができます。
大切な事は、 チャンクダウンを繰り返しAが起きなければBは発生しない という思考回路を形成することです。これが 情報整理力 です。
上記の例でいうと、
A 「 床にジョッキと一斗缶を置く 」 という動作が起きなければ、
B 「 おでこと突起物の物理的距離がゼロとなり、 ケガをする 」 事象は発生しないとなります。
ここまでできると対策は自ずと決まってきます。 この例では以下の対策を取りました。
対策 「 ジョッキと一斗缶をしゃがまなくても取り扱えるように作業台を設置し上にのせる 」
そのほかのチャンクダウン例として、 以下に示します。
A 「 接触した者のおでこの位置が突起物と同じ高さにあった 」 という事象が起きなければ、
B 「 おでこと突起物の物理的距離がゼロとなり、 ケガをする 」 事象は発生しないことになります。
この対策としては 「 作業チームメンバーの身長を考慮して作業台の設置位置を決める。 」 でした。
A 「 皮膚をケガするような力でぶつかる ( 弱い力だったらケガはしない。 ) 」という事象が起きなければ、
B 「 おでこと突起物の物理的距離がゼロとなり、ケガをする 」 事象は発生しないことになります。
この対策として 「 おでこが突起物に接近してもいいように干渉物 ( クッションの様なもの ) で力を緩和する。」 でした。
チャンクダウン思考を鍛え根本的原因を取り払う カイゼン案 を導く経験が増えれば、 上司の部下に対する イライラ感 がなくなり、チーム全体良い方向になって行きます。
なぜなぜ分析を進めるときには 傾聴力 と 情報整理力 が大きく影響するのです。
チャンクダウン思考を鍛えるには 新5S思考 が効果的です。次回は、問題の捉え方 ( 問題認識の違い ) についてお話しする予定です。
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