前回と前々回では、 清掃についてお届けしました。
清掃はあなたの部下や後輩の当事者意識を育み当事者能力を発揮するまでの修行(?)としてぜひ体験させてあげてください。
そしてシリーズ5回目は、 整頓 のお話をします。
整頓とはズバリ 『 ムダ取り 』 です。
私たちの職場には、 多くのムダが隠れています。
それも、そのムダになれてしまっていて通常の作業だと思い込んでしまう悲しさも持ち合わせています。
どんなにあなたが 「 これはムダだ! 」 と部下や後輩に話しをしても、 何年も続けている仕事内容を変えることができないのは、 ムダを意識できていないからなのです。
そもそもムダとは漢字で 『 無駄 』 と書きます。
『 駄 』 の意味は 『 馬に負担させること 』 という意味であり、 人が歩くことを馬に任せて移動を楽にすることを表します。
なので、 『 無駄 』 というのは 『 駄が無い 』 状態を指しますので、 人が歩くことを馬に任せて移動を楽にできていない状態のことを表します。
これを職場に当てはめてみると 「 仕事を楽にできていない職場 」 という意味になります。
「 仕事を楽にできていない職場 」 とは、 働き方改革が強く推進される今日からすると理想的な職場とはかけ離れた状態です。
たとえ職場において何かしらの制度を導入したとしても、 ムダが職場に残っている状態であれば、 その制度さえもムダになりかねません。
しっかりムダに気付く人を育て 『 ムダ取り 』 改善を行うことが、 真の働き方改革をなしえるために必要です。
『 ムダ取り 』 のポイントは 『 にくい 』 でした。
この 「 にくい 」 は、イライラ感情を高めるとともに、 視野を狭め集中力が散漫になりストレスの原因となります。
新型コロナが蔓延している時期にストレスからくる免疫力の低下は、 絶対に避けたいものです。
免疫力の低下は作業ミスや災害の原因にもなってしまいかねませんから。
ムダを見つけるのは、 前回のブログでも書いた清掃活動時に見つけます。清掃活動で 「 にくい 」 を探し出し、 整頓活動で「 にくいをやすく 」 します。前回のブログはこちら。
清掃しにくい → 清掃しやすく
歩きにくい → 歩きやすく
見にくい → 見やすく
探しにくい → 探しやすい
整頓はイライラを減少させる活動ともいえます。
ムダを取り除きコストを削減すると共にメンタルヘルスに係わる職場環境向上にも役立つ活動なのです。
改善ファシリテーター育成教育の時、 ムダを取り除く場合は 「 1㎜ 1秒 チャレンジ 」を徹底的に教え込みます。
経験則から 20秒 以上のムダ取りをテーマとして与えると、 モノゴトを難しく考え始め複雑に考えるメンバーが多くなることが解ります。
この複雑な思考は、 結論に至るまでの時間が長くかかり、 思考ロスとしてコストに跳ね返ってきてしまいます。
スピード感を持った改善活動を体験させなければ、 改善活動自体がロスになりかねません。
表向きは 「 改善活動! 」 と前向きですが、 裏を覗くとロスになっているケースは少なくないのです。
大きな 『 ムダ取り 』 テーマを与えるくらいなら、 「 1㎜1秒削減 」を繰り返し体験させ、簡単な改善を継続させることと合わせスピード感を会得させた方が「ムダ取りパーソン」が多く育ちます。
私の好きな言葉に「 1 人の 100歩 より 100人 の 1歩 」 というのがあります。
1人 が大きな改善を進めて成長するよりも、 100人 が小さな改善を経験する方が組織全体の改善力が高まることを表していると思っています。
ムリな改善を強いるより、 小さな改善を数多く体験させるように部下や後輩を支援してあげてください。
職場にあるモノはそこで働いている人から見ると、必要なモノばかりと感じてしまいがちです。
しかし、職場にあるモノには何らかの意味や目的を果たすための機能や理由が必要なのです。
意味や機能、理由が言葉で説明できないのであれば、そのモノは棄ててください。
そして、 意味や機能、 理由が説明できたのなら、
「 なぜここ ( そこ ) に置く必要があるのか? その理由は? 」
と自問自答したり、 部下 ・ 後輩 に質問を投げかけてみてください。
なぜこの高さに置く必要があるのか? その理由は? ( もっと取り出しやすい高さが見つかるかも! )
なぜこの角度で置く必要があるのか? その理由は? ( もっとしまいやすい角度が見つかるかも! )
なぜこの向きで置く必要があるのか? その理由は? ( もっと掴みやすい向きが見つかるかも! )
なぜこの空きスペースが必要なのか? その理由は? ( もっとコンパクトにするヒントが見つかるかも! )
整頓活動は、 小さなムダに気付き ( 問題検出力 )、問題が発生する原因を考え ( 分析力 ) 、問題を解決しよりよい方向になるための行動を起こす ( 改善行動力 )の 維持 ・ 向上 に繋がるのです。
5S活動 をお片付け活動で終えるケースと部下や後輩の成長を盛り込んだケースとでは、組織の問題を解決する能力に格段の差が生まれてきます。
お片付けに止まった5S活動か? 人材育成の新5S思考術か? どちらの5S活動を選択するのはあなた次第です。
次回は、 1㎜ 1秒 の整頓を実践した事例についてお話します。
これまでの 「 5S活動 」 に、+「コーチング心理学」 を取り入れた【 新5S思考術 】
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